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第131話 返事ひとつで、世界は騒がしくなる

last update Date de publication: 2026-09-06 13:00:57
 スマホの画面を、もう何度見ただろう。

──今日の帰り、また一緒に帰りたい。

 たったそれだけの文章なのに、胸の奥がざわざわする。

(逃げない、って言ったくせに)

 私は深呼吸して、親指を画面に置いた。

『……ちょっとだけなら、いいです』

 送信。

 それだけで、心臓が一気に早鐘を打つ。

(何この緊張感)

 既読がつくのは、思ったより早かった。

 そして、すぐに返事が来る。

『ありがとう。じゃあ、エントランスで待ってます』

 淡々とした文面なのに、どこか嬉しそうな響きがして、勝手に顔が熱くなる。

(……単純すぎ)

 その日の仕事は、正直ほとんど頭に入らなかった。

 時計を見るたびに、秒針の音がやけに大きく感じる。

 定時。

 バッグを手に席を立つと、心なしか周囲の視線が気になる。

(別に、何もおかしくないのに)

 エントランスには、すでに嵩がいた。

 スーツ姿のまま、スマホをポケットにしまって、こちらに気づくと少しだけ表情が緩む。

「中谷さん」

「……平田さん」

「今日は、ありがとう」

「“ちょっとだけ”ですから」

 そう言うと、嵩は小
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